社会実装教育
電子工学科における社会実装教育とは
「どう作るか」だけでなく,「何を作るべきか」を社会と一緒に考える教育です.
社会実装教育の背景
コミュニケーション技術や発想法が,エンジニアの必須技能になっています.
コンセプトとマーケティングの重要性
グローバル化の影響で,単純な製造や組み立ての付加価値は下がる傾向にあります.一方で新たなコンセプトやマーケティングの価値が高まっており,この新たな付加価値構造をスマイルカーブと呼びます.そのため,技術者は今まで以上に新たな価値を創造する力と,社会の要求を見出すコミュニケーション力が求められています.
経済の観点で未来を考える必要性
経済における利潤は,2つの価値体系の差により生じます.古くは地域間の価値の差が利用され,産業革命以降は原材料と生産物の差を用いた経済活動が行われてきました.しかし,物流の発展とグローバル化によって,これらの利潤は大きく減少しています.そこで,未来に向けて何を作るべきかを考えられる人材の重要性が高まっています.
コミュニケーション力の育成
ニーズを見出し,新たな取り組みを始めるにはコミュニケーション力が必要です.
電子工学科ではコミュニケーション力を以下3点に分解し,教育を行います.
観察力・共感力
ユーザー本人も気づいていないニーズを見出すためには,観察する力と,共感する力が役立ちます.
電子工学科ではデザイン思考の概念を取り入れ,社会実装科目において観察と共感のトレーニングを行います.
共有力
製品開発サイクルはどんどん早くなっており,集められてはおよそすぐ解散するチームで,重要な知識をただちに共有する能力が重要です.
電子工学科では,グループワークを通して情報共有のトレーニングを行います.
論理力
チームで動くには、自分の考えを誰にでも分かりやすく,納得してもらえる形で説明できる論理力が求められます.
電子工学科では,実験レポートやプレゼンテーションの機会において論理的説明の方法を指導しております.
電子工学科における社会実装教育全体の枠組み
「今を学び,未来を創造して,ユーザーに提供する」
低学年のうちから,知識と技術だけでなく創造力とコミュニケーション力を高める取り組みを推進しています.
多様な側面のある取り組みですが,未来の価値を議論し,それをユーザーに提供するにはどうすれば良いかを考えるという枠組みで取り組んでいます.
2年生:価値の創造と提案を知る
電子工学科2年生では,現在の技術と価値体系を学びながら,この知識を元に未来の価値を考える「企画書ワークショップ」を行っています.
3年生:ユーザーに提供して反応をもらう
電子工学科3年生では,高専祭(くぬぎだ祭)の来場者に楽しんでもらう目的で電子工作を駆使したゲームの制作を行っています.人に使って楽しんでもらうにはどうすれば良いかを考え,実際のフィードバックをもらうことで,社会と技術の関わりついて考えを深めることを目的としています.
4・5年生:社会実装プロジェクト(全学共通)
チームで,課題解決を目指したモノ・コトづくりを行い,試作したものを実際に社会に実装してみて,外部から本物の評価をもらうプロジェクトです.
2019年度からスタートのため,まだ未知数の部分もありますが,学生のうちから実際の課題解決に挑むことで,以下の能力を身に着けてもらいたいと考えています.
- 市民や異なる分野の専門家から生まれる「生きている情報」を工学上の言葉や具体的な技術に変換することのできる高度なコミュニケーション力
- 社会の複雑な要求に基づきながら改善や改良に取り組む主体性と創造性
詳細は以下のリンクをご参照下さい.